コネクタテレビとは、アートや文化の現場にいろんなカタチで関わる様々な人々の動きを紹介していく番組です。
大阪を拠点にレコードレーベル「エム・レコード」を運営されている江村幸紀さん。2014年にリリースされたタイ・イサーンのルークトゥン歌手、ダオ・バンドンのアルバム『水牛に乗る人』を中心にお話を聞いた。
企画・制作:npo recip 撮影・編集:丸井隆人 撮影・写真:谷本龍一 協力:江村幸紀、Soi48、丸井かおり、丸橋基
em records - エム・レコード http://emrecords.net/
em records - Dao Bandon [Kon Kee Lang Kwai (水牛に乗る人)] http://emrecords.shop-pro.jp/?pid=79013740
soi48 http://soi48.blogspot.jp/
Plantation http://www.plantationwebshop.com/
レコードレーベル「em records」番組公開後、バンコクを訪れる機会があり、夜中に街をふらついていると路上にパラソルを立てて酒を飲み交わしている若者の一群に出くわした。そこで大音量で流れていたのがルークトゥンだった。番組内でも紹介したタイの東北地方発、通称「田舎者の歌」とも言われるルークトゥン・イーサンである。掛かっていたのはダオ・バンドンではなかったが、曲調からしてルークトゥン・イーサンであることは紛れもなく、江村さんが熱くなっていたのはこれか!と思わぬところで腑に落ちたのである。それは推測でしかないが、1960年代、英国の労働者階級の若者たちがロックに求めただろう熱気に近いもの(鬱屈と発散)がそのパラソルの下には音楽と共にあるような気がした。
コネクタテレビでは番組一本15分以内という時間制限があって、実は今回公開した番組は取材の前半インタビュー部分しか扱っていない。後半はタイを含めた音楽業界全体の話となり、音楽配信が始まってからの売上げや違法コピーの問題などにも話は及んだ。そうした中で江村さんから終始一貫して感じられたのは音楽に対する偏見のなさだった。例えばCDの売上げ低下に対する苦肉の策として、有名ミュージシャンでもライブ時のグッズ売上げが貴重な財源になっていることや、AKB48の握手券付きCD販売という手法をどう思うか訊ねたときも「楽しそうで羨ましい。自分たちもやれるものならやってみたい。買う方も売る方も楽しめて配信にはない魅力がある」と非常に前向きに捉えられていた。その姿勢がより顕著に現れたのはエム・レコードの活動がマニアック/レア・グルーヴという括りで捉えられがちなことに対して異を唱えられた場面だった。
江村さんにとって音楽ないしアーティストに有名無名もなく「たまたま気に入ってリリースしたアーティストが一般的には名前が知られていなかっただけで、それを指してマニアックとされることには違和感があるし、やろうとしていることもマニアック受けを狙ったものではない」と言う。そんな彼が次に何と出会うか目が離せない。
動画:Nikon D600, AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED, Carl Zeiss Makro Planar T* 2/50 ZF.2 写真:Chinon 35FS (35mm F2.8) 編集:Final Cut Pro 7.0.3, Apple Inc.